2020年12月5日 / 最終更新日時 : 2020年12月3日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 LetterFrom平壌 1980年代中期― 飛行機を降りた彼は出迎えの民族服を着た少女から花束を受け取った。「初の海外旅行が北朝鮮とは我ながらディープだな」 彼は心の中でこう呟きながら苦笑した。「皆さん、まず写真撮影をします」 この旅行団の団 […]
2019年8月17日 / 最終更新日時 : 2019年8月16日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 元暁異聞 一、 旅装をした二人の僧が山道を下って行く。「元暁どの、大丈夫ですか?」 前を歩く若い僧が後を振り返りながら問い掛ける。「ああ、平気だ。日も暮れ始めたことだし、空模様も怪しげだ、急ごう」 元暁は力強く答えながら歩みを速 […]
2019年2月13日 / 最終更新日時 : 2019年2月12日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 牡丹の戒め うららかな春の日、薛聡は鉢植えの牡丹を抱えて王の執務室を訪ねました。 「聡智(薛聡の字)か」 突然の訪問にも関わらず、王は嬉しそうに彼を迎えました。 「我が家で育てた牡丹が花を咲かせましたのでお持ちしました」 こう […]
2019年2月11日 / 最終更新日時 : 2019年2月10日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 養花小録~朝鮮士大夫のガーデニングライフ 今日も菁川先生は庭造りに余念がない。このところ先生は時間があると庭に出て草木の手入れをしている。その姿は楽しそうで見ている方も気持ちが和んでしまう。 先生が造園を始めたのは、数年前、副知敦寧付事に任命されてからである […]
2018年5月29日 / 最終更新日時 : 2018年5月28日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 海を渡った女 浜辺を年配の男女二人が歩いています。 「本当に望みは無いのか?」 士大夫姿の男性が問いかけると 「当たり前のことしたまでです。島民が飢えから逃れることが出来たのですから、これ以上何を願いましょう」 と女性はきっぱりとし […]
2017年8月28日 / 最終更新日時 : 2017年8月27日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 針祭文 「今日も木槿の花が満開ね」 随所にこの花が見られるため木槿国と呼ばれているこの国の大妃殿で青郁は宮女として働いている。 勤務を終えて中庭の槿の花を眺めながら自身の宿所に戻ったところ、いつもなら戸を開けるや否や「お帰り […]
2017年1月21日 / 最終更新日時 : 2017年1月20日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 造られた通交 彼は、井戸茶碗に湯を注ぎ馴れた手つきで茶を点てた。 「どうぞ」 茶を勧める動作も完璧である。だが、その服装は日本のものではない。漢陽某所で主一人、客一人の茶席が行なわれている。 「倭国では、密談をする際はこのようにす […]
2016年9月12日 / 最終更新日時 : 2016年9月13日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 言の葉の道 「何で倭の詩歌なんて学ばなくてはならないの!」 鴻嬉寮の女子学生たちは猛反発した。 この鴻嬉寮は、朝鮮から日本に留学してきた女子学生たちのために李王家の妃殿下が設立したものである。日本の皇族出身の妃殿下は、日本の良さを […]
2016年5月22日 / 最終更新日時 : 2020年8月21日 Review Review 金氏行状譚 朝鮮王朝時代、自身の才覚と勇気で困難を乗りきった女性のお話。 (Text-Revolutions3 Webカタログより転載) 高麗楼さんの「金氏行状譚」は、作者未詳の朝鮮半島の古典「李春風伝」を元にした短編小説です。 金 […]
2016年2月25日 / 最終更新日時 : 2016年2月24日 straycat テキレボWebアンソロ 猫と女人 とざい、とーざい。これよりお話申し上げますのは、皆さまお馴染みの譲寧ヤンニョン大君漫遊記の番外編であります。厚伯(譲寧大君の字あざな)さまは、今回はどんな騒動を起こすのやら。しばらく、お付き合いのほどを。 * * * […]