2017年8月31日 / 最終更新日時 : 2017年8月30日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 エンディング 「ハッピーエンドとバッドエンド、どっちが多いと思う?」 尋ねると、屋台の前に居たその女は、怪訝そうに俺を見た。 この蒸し暑い中、女は掌が隠れる程に袖の長い白衣を着ていた。一方、その下は素足にサンダル、ホットパンツにノ […]
2017年8月30日 / 最終更新日時 : 2017年8月29日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 真緑の王国 少年は星空のなかにいた。 巨木の天辺に座る。黒々として視界の果てまでつづく山脈やまなみではなく、頭上に満ちた星々を仰いでいた。 少年の背後の地平線に、一瞬緋色の線が走った、と思う間もなく、太陽が暗闇を突き破って空を […]
2017年8月30日 / 最終更新日時 : 2017年8月29日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 霧深き祭りの夜に 「セレス、絶対にはぐれるんじゃねーぞ」 と、言われたはずではあったのだが。 気づけば、セレスは一人、霧深い路地に佇んでいた。 あちこちから人の声と笛と弦、太鼓の音色が聞こえてくる。しかし、頭上高くに広がる天蓋はすっ […]
2017年8月30日 / 最終更新日時 : 2017年8月29日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 白い夜の乙女 月のない夜、小さな赤子が産声をあげた。赤子を取り上げた老いた女性の皺だらけの手の中で、懸命に自らの生をうたう。温いお湯を丁寧にかけられて、赤に塗れていた赤子は本来の姿を表す。その姿を見つめ、ばば様と呼ばれている彼女は束 […]
2017年8月29日 / 最終更新日時 : 2017年8月28日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 少女と夏祭り 私は夏祭りの会場を歩いていた。普段外を出歩かない私にとって、夏祭りの会場とはこの世で最も忌避すべき場所の一つだ。そのような場所を歩いていると、暑さのせいだけではない嫌な汗が頬を伝うのがわかる。 私は「おそろしいもの」 […]
2017年8月29日 / 最終更新日時 : 2017年8月28日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 この忌々しい夕日に乾杯を 一日が終わろうとしていた。 太陽は地平の彼方へと消えつつ、よく熟したトマトのように、辺りを染め上げていた。 いつものように、皆が集う。 俺たちよりも、ずいぶんと若いくせに、ずっとくたびれてしまっているテーブルを囲 […]
2017年8月29日 / 最終更新日時 : 2017年8月28日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 うつろ祭りの海 今から二百年以上前、この村の浜辺に大きな「うつろ舟」が流れ着いたという。「うつろ舟」の中には若くて美しい女が乗っており、その女は腕に赤ん坊を抱えていた。女は浜辺に集まった村人に赤ん坊を差し出した。村長が歩み出て赤ん坊を […]
2017年8月28日 / 最終更新日時 : 2017年8月27日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 きょうの収穫 熟した果実のような色のランタンが並ぶ大通りは収穫祭ならではの熱気に満ちて、行き交う子供も大人も例外なく浮かれた顔をしている。甘い匂いに誘われ、色鮮やかなお菓子の店を見つけた藍が走り出した。彼女を追う私もつい口元が緩む。今 […]
2017年8月28日 / 最終更新日時 : 2017年8月27日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 針祭文 「今日も木槿の花が満開ね」 随所にこの花が見られるため木槿国と呼ばれているこの国の大妃殿で青郁は宮女として働いている。 勤務を終えて中庭の槿の花を眺めながら自身の宿所に戻ったところ、いつもなら戸を開けるや否や「お帰り […]
2017年8月28日 / 最終更新日時 : 2017年8月27日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 【贄と邪竜】より、「秋祭りの巫女」 村長には、双子の子があった。 妹の茜は、外を男童たちと走り回る活発な子であり、兄の葵は、生まれつき病弱で、屋敷内で読書を楽しむ内気な子であった。 二人は本当にそっくりで、玉のように美しかった。両親を含めた周囲の大人た […]