2018年5月16日 / 最終更新日時 : 2018年5月15日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 冒険者 水面は凪いでいた。 純也は腕組みをし、毛布の先端にあぐらをかいたまま、眉間にシワをよせる。拓実はそんな純也を、黙って見つめた。 おばあちゃんの家の押し入れにあった毛布が魔法の毛布だと気がついたのは、弟の純也だった。 […]
2018年5月16日 / 最終更新日時 : 2018年5月15日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 彼女の大嫌いな理由と大好きな訳 スヴェデニア海国の砂浜で一人の天使の女性が膝を抱えて座り、寂しげな顔で金の肩甲骨までの癖毛を潮風に揺らしながら海を見つめている。 日華に透かされた若葉の色をした両目で穏やかにうねる海を何となく見ていれば、海面から丁の字の […]
2018年5月16日 / 最終更新日時 : 2018年5月15日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 水底の葬列 先頭を行くのはひしゃげた顔の人間だった。 彼の頭からは竿が伸びていた。その先には提灯が吊り下げられている。 彼のあとに続く人間は皆死んだような目をぎょろぎょろと宙に泳がせていた。 やたら目の大きな男が着物は黒地に […]
2018年5月15日 / 最終更新日時 : 2018年5月14日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 20,000 miles away 人間たちはみんな、海にかえっていった。 かつて、地上には多くの種類の生物が生息していたという。 人間もそのひとつだった。 あるとき、大波が地上のあらゆる生物を海にさらっていったという。 人間もそのひとつだった。 […]
2018年5月15日 / 最終更新日時 : 2018年5月14日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 ノーマル・ライフ ピカピカの大学一年生、宮澤美郷みやざわみさとにはささやかな野望がある。 それは「ごく普通の学生生活」。ちょっと痛々しいが、彼当人は大真面目だ。適度な勉強とアルバイトに、サークル活動。彼女もできれば申し分ない。野望に掲 […]
2018年5月15日 / 最終更新日時 : 2018年5月14日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 吸血鬼氏の家政婦さん・吸血鬼と海 鹿のたむろする公園のある関西の某県在住の「私」。 自分の住むマンションの大規模修繕を間近に控え、修繕一時金を工面せざるを得なくなった吸血鬼ものマニアの「私」は、職業斡旋サイトの、雇用主が吸血鬼だと自己申告している怪し […]
2018年5月14日 / 最終更新日時 : 2018年5月13日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 カラスの夏休み 「休演日のバーベキュー、内野も参加だよな?」 「バーベキュー?」 昼夜の道具の入れ替え時、大道具の佐野に謎の呪文を唱えられた。 「あ、の?」 「あれさ、こっちと東京チームで結構大所帯になってさ。マイクロバス借りたから、 […]
2018年5月14日 / 最終更新日時 : 2018年5月13日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 さかなは鯨の夢をみていた 外つ国の文化を急速に取り込んだ維新の時代を過ぎ、夜は明るくなった。洋風建築の建物は増え、街灯に橙の光が点る。その間を縫うように、人々は歩いてゆく。洋服と着物が混ざり合い、夜が鮮やかに彩られる。異国の空気をも纏った都市の […]
2018年5月14日 / 最終更新日時 : 2018年5月13日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 海底657フィートのモルゲンロート 巨大な船体から、これまた巨大な槍が。山のような火山のような何かに突き刺さるのを、みかんはぼんやりと眺めていた。 「ぺっぺぺぺー」 「ぺぺぺぺぺぺーぺぺぺーぺー」 「ぺぺぺーぺぺぺっぺーぺー」 大人二人は流れるBGMを口ず […]
2018年5月13日 / 最終更新日時 : 2018年5月12日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 海景 「おーっ、この景色を見ると、帰ってきたって実感湧くなあっ! ……メルっ!」 桟橋をドカドカ踏みならす音に、ああ、ヤツがまた来たか──と、メルの口から溜息が零れる。それに連れて小柄な彼女の足下の板越しに、海までも所在なさ […]