2019年9月5日 / 最終更新日時 : 2019年9月5日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 告白 いよいよ、私は死のうと思います。 驚かないでください、いいえ、きっと君は驚かないでしょう。君は私のそういうところを、よく知っているはずです。 君はよく、私を美しいと言いましたね。ええ、覚えています、あれは夏の盛り、うだ […]
2019年9月4日 / 最終更新日時 : 2019年9月3日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 1000万あったら その日は特になにかがあったわけでもなく、ただちょっと意外だったのは、あいつの方から飲みに誘われたことであって。多分、あいつも深く考えていないと、俺は勝手に思っていた。そして、俺の仕事が終わるタイミングであいつからメール […]
2019年9月3日 / 最終更新日時 : 2019年9月2日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 XVI 塔 「一体、いつまで待たせる気だ!」 隊員の一人がとうとう音を上げた。 誰もが思っていたことだ。文句を言葉にした者を咎める気は誰にもなかった。隊長だけが静かに「暫く、と言っていただろう」と諫める。隊長の隣でだらしなく座って […]
2019年9月2日 / 最終更新日時 : 2019年9月2日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 もたざる者の素描 魔術とはどんなものだろう。 魔力をもつ『ブックス』ともたない『ノンブック』の生きる世界で、俺はノンブックとして存在している。 およそ二分の一の確率で魔力をもたずに生まれたことをトライスラー家は祝福した。ノンブックであ […]
2019年9月1日 / 最終更新日時 : 2019年8月31日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 薔薇庭園に見る海 背の高い薔薇の木の下、冷たい石の褥に横たわり、麗人は一人だった。麗人の所有物である城、その敷地は車が通れる一本道を除いて薔薇園になっている。石畳に入ったひびからも新たな薔薇が咲き、薔薇以外の花は存在しない、豪奢な庭であ […]
2019年8月31日 / 最終更新日時 : 2019年8月30日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 あなたのいない季節 二年前の秋、両親と私の三人で宮城県北部にある父の故郷へ車で墓参りに向かった。その夏の盆に母方の岩手県花巻市に両親と私、そして姪三人の合計六人でやはり車で墓参りと温泉に一泊した。夜に五杯、朝に三杯のご飯をおかわりした育ち […]
2019年8月30日 / 最終更新日時 : 2019年8月30日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 女賢者と咎の少女 世界滅亡を目論む首謀者を討つべく、敵の本拠地に乗り込んだ私たちに立ちはだかったのは、表情無き少女だった。 彼女は、これまでの道中で私たちに襲撃し、時に村や街の住民を巻き込むこともあった。しかし、そこに彼女自身の意志はな […]
2019年8月29日 / 最終更新日時 : 2019年8月29日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 霞季 雨が止む。雨季が終わる。しかし余所者であるトウジにはその空の機嫌を感じ取ることが適わない。「明日の朝にはすっかり変わっているだろうよ」 外も中もないような店から路上を眺めていたホアンは鼻を鳴らしてそう言った。無精髭が過 […]
2019年8月28日 / 最終更新日時 : 2019年8月28日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 まつりばやし 刀剣乱舞 2次創作------------------ 小さなステージ上のピアノに、スポットライトが当たっていた。拍手が鳴り止むと子供がひとり下手しもて側から歩いてくるが、緊張しているのかひどくぎこちない。楽譜スコアを持 […]
2019年8月27日 / 最終更新日時 : 2019年8月27日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 箱庭は茜色に染まりて 絵描きの帽子が飛ばされたのを拾ってきてやれば、お礼の代わりにと好きな絵を描いてくれるという。「え、そんなのいいスよ。もらったって俺、飾れるような家もないし」「枕の下に敷いておけば夢に見れるぞ。私の描く絵はそういう力があ […]