2016年2月20日 / 最終更新日時 : 2016年2月19日 straycat テキレボWebアンソロ 完成!猫型機獣試作機 「なんだ? あれ」 ボルジア陸軍、ゴンザレス中尉は見上げた。 目の前に、巨大な鋼鉄の猫がいる。 例えとかではなく、形そのものがどう見ても、猫。 「おお。来てたか」 振り返る。 軍の技術士官、ハリコフ博士だった。 よ […]
2016年2月20日 / 最終更新日時 : 2016年2月19日 straycat テキレボWebアンソロ 猫邑ねこむら 何ということもなく夜遅くに散歩していると、目の前を猫が通りかかった。家を出てすぐの細い坂道をするすると上がっていた。僕は思わず足を止めて猫を見た。少しふっくらとした薄茶色のきれいな毛並みの猫の姿は次第に遠くなって小さく […]
2016年2月20日 / 最終更新日時 : 2016年2月19日 straycat テキレボWebアンソロ ミケを探して あたしがお昼寝から目覚めた時、部屋には誰もいなかった。 『りゅーじ?』 赤いソファの上で体を起こし、部屋を見回す。普段はそこら辺でつまらなさそうに本を読んでいる、その姿はない。 『えーさみしーりゅうーじぃー』 ちょ […]
2016年2月20日 / 最終更新日時 : 2016年2月19日 straycat テキレボWebアンソロ 黒猫奇譚 生まれたのはどこだったか。定かではない。今は日本と呼ばれる、この国の中であることだけは確かである。 世の中はいつになっても物騒だが、その時代その時代で物騒のベクトルは変化を見せている。私がこうして”ベクトル”などとい […]
2016年2月20日 / 最終更新日時 : 2016年2月20日 straycat テキレボWebアンソロ 花咲く頃には 小さなバス停の傍らに置いてある、古びたベンチに座っていた小さな影に、コウサの全身が硬直する。 バス停の横にある、この町の人々が細々と世話をしている小さな花壇に、綺麗な秋桜が咲いている。隣の部屋に一人で暮らすコネコビト […]
2016年2月19日 / 最終更新日時 : 2016年2月19日 straycat テキレボWebアンソロ 落とし物 「チャローチャロー、ご飯だよー」 睦美ちゃんの呼ぶ声が聞こえて、うとうとしていた僕は目を覚ました。 今日みたいに天気がいい日は、二階でゴロゴロするのが僕のモットー。でもご飯の時間は別だった。 階段を駆け下りると、僕 […]
2016年2月19日 / 最終更新日時 : 2016年2月19日 straycat テキレボWebアンソロ 一生、毎晩。 癖のある茶色い髪は、猫みたいだ。だからわたしは君のことをこう呼んでいた。本名は影も形も残していない。 「ニャン太、嬉しそうだね」 君は白い息を吐きながら、ずっと話し続けていた。一晩中しんしんと降り続けた雪が、わたした […]
2016年2月19日 / 最終更新日時 : 2016年2月19日 straycat テキレボWebアンソロ 『猫に関する考察』より、名前について 屋敷に住むその少年は、黒と白と茶トラのたいそう見分けやすい三匹の猫を飼っていた。彼は自分の三匹の猫たちに《初恋》だとか《まどろみ》だとか、《天文学》だとか《空腹》だとか《モーツァルト》だとか、いつも好き勝手な名前を付け […]
2016年2月19日 / 最終更新日時 : 2016年2月19日 straycat テキレボWebアンソロ どれが元祖で本家かわからないけれど、あの日手に取ったそれは確かに偽物だった 春が近づいた今日、暗い顔の甥がゲーム機を手に持って私の家を訪問した。居間のソファに二人で座り、私は、何か嫌な事でもあったのか? そう優しく問うと、甥は少し泣きそうな声で、学校にこれを持って行ったらみんなにバカにされたと […]
2016年2月19日 / 最終更新日時 : 2016年2月18日 straycat テキレボWebアンソロ 赤い瞳 「いやー、儲かったなー!」 少年が一人、上機嫌で王都の表通りを歩いている。颯爽とした軽やかな足取り。眩しい銀髪に、深い蒼色の瞳。痩せ気味だがすらりとした手足の美少年だ。 彼の名はジャック。情報屋を営む十四歳の少年だ。 […]