2016年2月18日 / 最終更新日時 : 2016年2月18日 straycat テキレボWebアンソロ 高殿に座して 高殿たかどのにひるがえる衣が見えた。月の出を待っているのだろうか。それとも、何か珍しいものを見つけたのか。何かを一心に見つめている人が、いる。 あの衣は、夫のものだ。宮中への出仕から戻って着替えたのだろう、くつろいだ […]
2016年2月18日 / 最終更新日時 : 2016年2月18日 straycat テキレボWebアンソロ 泡盛さん・猫 茶トラの猫がいる。白薔薇亭の一室に。 「えーっと、もしかして、トマス殿」 「はいそうです」 少年は、オーナーの弟にしてリース教授の養子のリチャードである。年齢は十二歳、見かけは九歳くらいの小柄な子供。実は中世イングランド […]
2016年2月18日 / 最終更新日時 : 2016年2月18日 straycat テキレボWebアンソロ Kato plenigita ここは、この街の中でも貴族等の富裕層が集まる一角。 住んでいるのが貴族ばかりというわけでは無いけれども、庶民の中でも富める者が多い地域だ。 私は、そんな人々が集う教会に所属する、修道院で暮らしている。 修道院で私が主 […]
2016年2月18日 / 最終更新日時 : 2016年2月19日 straycat テキレボWebアンソロ 昨日の猫は、トリの友 見られている。そう感じて窓の外に視線を向けると、キラリと光る双眸がジッとこちらを窺っていた。 薄い茶色ともベージュとも思えるふさふさとした体毛。ピンと立った両耳と顔と両手足が黒い双眸の主は記憶が正しければ多分――シャ […]
2016年2月18日 / 最終更新日時 : 2016年2月18日 straycat テキレボWebアンソロ 冷たい雨が生温い 棘つきの荊鞭が空気を掻き切り、背中に鋭い爪を立てては切り裂いていく。鞭の尖った爪に一切の慈悲や容赦もなく、何の罪さえない咎人の背を穿ち、疾はしりつづけた。湿った地下牢獄に、鞭が肉を切り裂く乾いた音が響いては果てている。 […]
2016年2月17日 / 最終更新日時 : 2016年2月17日 straycat テキレボWebアンソロ 相思相愛 ある日、高校時代の同級生から電話が来た。 いわく、「猫を飼わない?」と言う事だった。何でも家の近所の公園に捨てられているのを拾ったらしい。ダンボールの中に居た4匹のうち3匹は貰われていったが、最後の1匹の引取先がなか […]
2016年2月17日 / 最終更新日時 : 2016年2月18日 straycat テキレボWebアンソロ 黒ねこのしっぽを切った話 黒ねこのしっぽを切ったら正面がどちらかわからなくなったのだ 黒ねこのしっぽを切ったらわからない番号ばかり電話が来るのだ 黒ねこのしっぽを切ったらEメールを送っても送っても戻ってく […]
2016年2月17日 / 最終更新日時 : 2016年2月17日 straycat テキレボWebアンソロ その男、猫好きにつき 和室に鎮座する炬燵から青年の上半身が突き出ていた。彼、水澤は常々「猫に嫌われたら生きて行けない」を主張してやまない男であり、その脳内には大学周辺の野良猫・家猫マップが作り込まれていると専らの噂である。 今、彼は手元に […]
2016年2月17日 / 最終更新日時 : 2016年2月17日 straycat テキレボWebアンソロ 【まお】 祖母の家の猫は、「マオ」という名前だった。マオマオ鳴くからマオ。普通猫はニャーって鳴くもんじゃないのと、当時小学生だった私は祖母に聞いたことがある。 マオは捨て猫で、私や祖母の前でもいつもきょどきょどしていた。だから […]
2016年2月17日 / 最終更新日時 : 2016年2月16日 straycat テキレボWebアンソロ 白猫魔法店 そのお店は、喧噪でにぎわう大通りから一本外れた、静かな路地の先にありました。 人通りなど無いに等しい、閑散とした細い道の行き止まり。注意していなければ見落としてしまいそうな、何の変哲もない古ぼけた木の扉。 よく目を […]