2016年2月16日 / 最終更新日時 : 2016年2月17日 straycat テキレボWebアンソロ 迷い猫の告白 アタシ、ただちょっとママを困らせたかっただけなの。こんなことになるなんて、思ってもいなかったのよ。 ママったらあの日、本当に酷かったの。久しぶりのお出かけ、アタシ楽しみにしてたのに行き先は病院だったのよ。 そう、病 […]
2016年2月16日 / 最終更新日時 : 2016年2月16日 straycat テキレボWebアンソロ 僕の守りたいもの 僕の名前はハル。フミという男に飼われていた猫だ。 毛並みは、オスだけど三毛猫で、結構珍しいみたい。 僕はマンションに住んでいる。十階に部屋があって、家からの眺めはいい。 そんな僕の環境を変える出来事があった。 勘のいい […]
2016年2月16日 / 最終更新日時 : 2016年2月16日 straycat テキレボWebアンソロ 笑う窓 その窓を通り過ぎてくれ 鍵をかけても駄目なんだ いつの間にかまた開いていて 風もないのに澄んでいる やわやわと君は近付いて 身を乗り出したりするだろう? 揺り籠を揺らす手は瞬いて 枝が 折れる 風もないのに だから猫よ […]
2016年2月16日 / 最終更新日時 : 2016年2月16日 straycat テキレボWebアンソロ 溝になく花 「俺はよぉ、初めてお前さんを見た時、“これが化猫遊女か!”って思ったんだ」 「何をいきなり言いしゃんすか……」 甚一郎かんいちろうは梅井花魁の膝枕を借りながら、脈絡もなく紡いだ。還暦の老体に酒の巡りは早く、ふわふわと湯 […]
2016年2月16日 / 最終更新日時 : 2016年2月16日 straycat テキレボWebアンソロ 奥州平泉猫騒動 「わー! こらっ、ちょっと、待ちなさいよ!」 毛越館けごしのたち中に響き渡る那津なつの声に、基衡は筆を止めた。 基衡はゆっくりと立ち上がると伸びをし、広大な池をたたえる庭を眺めた。庭に咲く梅の花々と、ウグイスの可愛ら […]
2016年2月15日 / 最終更新日時 : 2016年2月16日 straycat テキレボWebアンソロ 猫の王 猫の往来ばかりしかない、その狭い空間を、ぼくは王国と呼んでいた。 握りつぶされた発泡酒の空き缶が転がり、食い散らかされたキャット・フードとその袋もしたいままに放置されて、雨が降ると猫の尿と下水のにおいがする、雨が降ら […]
2016年2月15日 / 最終更新日時 : 2016年2月16日 straycat テキレボWebアンソロ 長靴を履いたスコの恩返し 「森山義希、恩返しに来たぞ」 ガソリンスタンドでのバイトを終え、コンビニ弁当の入った袋をぶらぶらしながら、一人暮らしのアパートへ帰り着いた俺を出迎えたのは、膝までの背丈しか無い、一匹の猫だった。 耳がクタンと垂れてい […]
2016年2月15日 / 最終更新日時 : 2016年2月16日 straycat テキレボWebアンソロ 桜池の鈴 明治中期、桜の蕾が少しずつ開き始めた頃のこと―― 江戸から続いた呉服屋の娘、絹江と、その母、静江、そして静江が嫁入りの際にどうしても連れて行きたいと願った猫の小町が白昼堂々と姿を消したのだった。 老舗の呉服屋の中で […]
2016年2月15日 / 最終更新日時 : 2016年2月16日 straycat テキレボWebアンソロ 喪に猫を放つ その日あたしは、タケシが死んだのを町内掲示板のペンキの板に貼ってあったのを見て知った。葬儀は今日だったから、とりあえず髪は昇天ペガサスMIX盛りだと派手すぎるから、タケシも死んでるし一等減じてMAX昇天盛りくらいにして […]
2016年2月15日 / 最終更新日時 : 2016年2月16日 straycat テキレボWebアンソロ なんでもない猫の日 秘策――待盾まちだて警察署刑事課神秘対策係は、今日も暇である。 係長の綿貫栄太郎わたぬき・えいたろうの姿もなければ、珍しく他の部署から押し付けられた事務仕事もない。本来の仕事であるオカルト事件の情報もない以上、最 […]