2017年8月12日 / 最終更新日時 : 2017年8月15日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 祭りの終わり マルボロのスーパーライトが切れた。 「なんか買ってくるものない?」 清水にコンビニに行こうとしていることをそれとなく伝える。 「うーん、オカモトのゼロワン」 「今ボケんじゃねえよ」 本気で頭をはたいてやろうと思った […]
2017年8月12日 / 最終更新日時 : 2017年8月15日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 泡盛さん・属性・お祭り男 「この国の祭りって神様を喜ばせるためにあったんですよ」 少年がそう言った。手元には様々な文献。白薔薇亭のいつもの居間。 「神様を喜ばせる、ねえ」 「僕達にはそんな考えなかったでしょう」 「そう言えば…」 「もてなして、ど […]
2017年8月11日 / 最終更新日時 : 2017年8月15日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 特別な一枚を 「篠田君まだ? このままじゃ授業時間終わっちゃう」 ぜいぜい息を切らしながら、私は同じ言葉を繰り返した。首から提げたカメラが重い。デート用を意識した服は汗まみれだ。悩んだ末にスニーカーにしておいてよかった。これじゃあピ […]
2017年8月11日 / 最終更新日時 : 2017年8月15日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 りんご飴 下校途中、ふと気づいたら石段の前に立っていた。浴衣や甚平姿の子どもたちが道を横切って、石段を駆けあがる。 祭りだろうか。夏の慰霊祭も、秋の収穫を喜ぶ祭りも、とっくの昔に終わった気もする。 「何の祭りだろうな」 町内 […]
2017年8月10日 / 最終更新日時 : 2017年8月15日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 1989年のピクニック 草原の真ん中に設けられた小さな演台の上で、夏の日差しをうけて目映いばかりの白いスーツ姿の女性が、聴衆に語りかけていた。 「いま、東と西の境が開き、おなじヨーロッパの人たちがひとつの共同体をこの草原に創ろうとしています」 […]
2017年8月10日 / 最終更新日時 : 2017年8月15日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 万聖節前夜祭 信仰心のまるで無いこの街に、また祭がやって来る。 ついこの前、盆の祭をし、提灯を並べ迎え火を焚き、そして送り火でここではない場処へ送り帰したというのに、また生きる場処の無い者たちを迎え入れる準備に忙しい。 外国から […]
2017年8月10日 / 最終更新日時 : 2017年8月15日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 祭囃子のそのあとで 荷物もほとんどないままこの街に越してきて数ヶ月。毎日買い物に来ている商店街の人たちとは、いつの間にかすっかり仲良くなっていた。 暑い盛りなので今日の夕飯は素麺でいいかなんて考えていた翔を、肉屋の女将さんが呼び止める。 […]
2017年8月9日 / 最終更新日時 : 2017年8月15日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 やっとさー 「一号迫二尺アップ、三番、二十三番ダウン、ロープダウン。まもなく一号迫六尺アップ」 桜波劇場舞台課の内野の声に、右側にいる男がボタンを押した。上方から降りてくる二本の吊り物。舞台上では十人の役者が殺陣を繰り広げている。 […]
2017年8月9日 / 最終更新日時 : 2017年8月15日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 十年後の君へ ――じゃあ、十年後。貴方と私で勝負をしよう! 昨夜の夢はこんな夢だった。やっと書き上げた小説、それは僕の昔話のような作品だった。 君と別れて十年。もうそんなに経つのかと夢うつつの頭の中でボンヤリと思う。夢の中の君も……綺 […]
2017年8月9日 / 最終更新日時 : 2017年8月15日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 旅路の果てに ~宇宙駅『神田』人情奇譚~ “旅路の果てにたどりつく 光輝く未来へと” 宇宙駅『神田』の気象センターが見事に演出した、地球の島国そっくりの秋の夕暮れの中、風に歌声が混じる。 「頑張っているなぁ~」 南校舎の三階の六年生の教室の窓が開き、混声パー […]