2017年9月7日 / 最終更新日時 : 2017年9月6日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 革命(部分) 善人のふりをするのはおよしなさいと、耳打ちされたことがある。驚いて振り返ると、知らない男が笹のような長い手で口元をななめに隠していた。わたしが母を殺したことを知らない人間がまだこの町にいるとは考えにくかったのでよそ者か […]
2017年9月7日 / 最終更新日時 : 2017年9月6日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 灯の海に、幕が下りる 日が暮れれば村には夜空の幕が下りるのだが、その日は違った。 目抜き通りには多くの屋台がところせましと軒を連ね、何人かが通りすがりに立ち止まる。熱気に押され何人かは食べ物や雑貨を購入していた。そして人々は思い思いに着飾 […]
2017年9月6日 / 最終更新日時 : 2017年9月5日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 祭囃子 熱い日差しが地上に降り注ぎ じりじりと肌を焦がしていく 日焼けを気にせず走り回り 男の子に紛れて 虫を捕まえていたのは もう二十年近くも昔のこと 昔は気にならなかった蝉時雨も 今は耳ざわりな雑音でしかない 自然以外に何も […]
2017年9月6日 / 最終更新日時 : 2017年9月5日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 きみのまな/TabretMagius 僕は、今度こそ告白しようとしていた。 夏祭りのこの日この時、この場所で。 屋台通りを離れ、中心からも外れて、それでもまだ祭りの空気の中。 ひと気は、僕と彼女の他にない。 彼女は微笑んで僕の言葉を待ち、片手で帯か […]
2017年9月6日 / 最終更新日時 : 2017年9月5日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 委員長な僕と創世記念祭 長い間、格好良いことがしたかった。弱きを助け強きを挫く、雑に言ってしまえば正義の味方みたいなやつ。派手な演出や壮大な物語はいらない。というか、そんなものがあると僕の手には負えなくなってしまいそうな気がする。もっとささや […]
2017年9月5日 / 最終更新日時 : 2017年9月4日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 おいしいおまつりボノフェスタ カヨコのタイムラインに肉の画像が流れてきた。キャプションにはフランス産仔羊入荷しました、とある。フランス産仔羊? 気になりながらも仔細がわからずユリコにメッセージを投げてみた。ただ 「フランス産仔羊」 とだけ。通知 […]
2017年9月5日 / 最終更新日時 : 2017年9月4日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 アーブの9日 AD19××年 熱い陽光の照りつける夏、アーブの9日はユダヤの歴史にとって最も悲劇的な日だと、現代に至るまでユダヤ教徒は教えられている。 モーセと共にエジプトを出た世代が、カナンに絶望しカナンに入れなくなった日。 […]
2017年9月5日 / 最終更新日時 : 2017年9月6日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 うつくしい野球 少女は十五歳から十七歳の間にゾンビ化する。165片の肉塊にするまで叩き切らないと再殺は不可能。人はそれをステーシーと呼んだ。 大槻ケンヂの小説の話である。 ゾンビは油断をすると現れる。元はブードゥー教における死者の […]
2017年9月4日 / 最終更新日時 : 2017年9月4日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 盆踊りの裏側で 相次いで私の両親が亡くなり、私たち家族は実家へ住む事となった。私が生まれた年に建て築四十年とはいえ、町で名を馳せた大工の手で建てられた、青森ひばの家はリフォームも数年前に済ませており、親子三人で住むには十分だった。 「回 […]
2017年9月4日 / 最終更新日時 : 2017年9月4日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 ドリーの失敗 人間たちって馬鹿だなあ、と思う。オイラの格好を見て、飴をくれたり、頭を撫でようとするんだ。オイラ、悪魔なのに。 今夜も小さな女の子から指を二本盗ってきた。夢と思って契約するのが悪いのだ。オイラ、ちゃんと言ったからね。 […]