2020年12月4日 / 最終更新日時 : 2020年12月3日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 出せなかった手紙 部屋を片付け始めたのは葬儀の数日後。母の仕事部屋から大きな爆発音がしたのがきっかけだ。恐る恐る部屋に入ると卓上で小さな花火が上がっていた。母はいまどき珍しい魔女だったので変わった持ち物が多かったけれど、まさかそんな危険 […]
2020年12月4日 / 最終更新日時 : 2020年12月3日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 もしも僕が君より先に死んでしまったら ある夏の日のことだ。 夫のイルタとイルタの弟のルスカが、噂のエーデマルク人宣教師に会うと言って村を出ていった。これは基本的に異民族を嫌うスオラの民にしては進歩的なことだ。 とはいえ、当事者の妻であるケサとしては、大事な […]
2020年12月3日 / 最終更新日時 : 2020年12月2日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 美味食と宇宙人 【返信】第※※※※※号より第※※※※※※号へ 親愛なる我が弟にして後輩へ 元気にしているだろうか。わたしは変わらず◇◇◇◇星の周回軌道で研究対象たちを見下ろしている。さまざまな種類の動物達の活動する姿を見ては、今日も大き […]
2020年12月3日 / 最終更新日時 : 2020年12月2日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 文字に恋する五秒前 「素敵な文字…こんな素敵な文字を書く人は素敵な人に違いない」 人柄よりも文字柄、この言葉が出てきた経緯を話そうと思う。「とりあえず一度お会いしませんか?」という言葉が衰退し、兎にも角にも「まず書面で出して貰えますか?」が […]
2020年12月3日 / 最終更新日時 : 2020年12月2日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 配達鞄の奥に眠る その昔、書店には紙の本が並び、会社では紙の書類が必要不可欠だったという。もう何年も前、歴史の授業で習ったことを思い出す。今では考えられないことだ。そう思いながら落とした視線の先には、自転車の前カゴに取り付けられた看板が […]
2020年12月3日 / 最終更新日時 : 2020年12月2日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 ある男の手紙 如何お過ごしでしょうか。大戦が終わって早十数年が経とうとしています。自由の身となり、名を変え、田舎で私は平穏に過ごしております。今でも、あの熱狂は何だったのか理解しかねております。物心ついた時には母はすでにあの男と再婚し […]
2020年12月2日 / 最終更新日時 : 2020年12月1日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 蒲がま うさうららさんへ わたしたちくらいの年代の人間が家族について語ることはこの国の近代史、とりわけ戦争の悲惨な爪痕に想いを馳せることでもありますね。ほとんど打ち明けると呼ぶに相応しい親密なお便りをもらい、コラボしてきた長い年 […]
2020年12月2日 / 最終更新日時 : 2020年12月1日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 その理由とは 長い廊下にそれは落ちていた。封筒に入った手紙。それを拾い上げてため息をついた。誰宛てなのかはわかっている。だからため息が出るのだ。 願い事は手紙にする便箋と封筒が用意されているが、自前の物でも良い。便箋に書き、それを封筒 […]
2020年12月2日 / 最終更新日時 : 2020年12月1日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 死と手紙の情景 協和音のあのとテァシンフラへ 言葉の練習をするのに、手紙を書くように言われました。まず自分の言葉で書いたものを、後で訳せと言うのです。 手紙を書くなんて、これまで考えたこともなかったので、何を書いたものかわかりません […]
2020年12月2日 / 最終更新日時 : 2020年12月1日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 BSS童貞プアマン、リアル美男子受肉して死す。 さて、二百六十年前に実用化された意識の移植手術は、二百五十九年前に完全に規制されてしまった。理由は単純明快で、つまりそれが人権の侵害であると当時のインテリに断定されたからだ。ヤツらは元々頭が良く、顔も良い。要するにこの […]