2021年2月24日 / 最終更新日時 : 2021年2月22日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 エンディングレター 由為が食材室で赤い花を選んでいると、隣の荷物置き場から声がした。「なかなか良い便箋がない」「明日の花を届けるときに交換してもらうか」 これから調理する花を持ちながら、由為は以前に家族へ送った便箋が余っていることを思い出 […]
2021年2月22日 / 最終更新日時 : 2021年2月22日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 手紙 紗シャに届いた竹の書簡筒には墨で蛙が描かれていた。一筆でさらさらと描きつけたのであろうごく簡単な手跡であるが、簡略化された線には無駄がない。相変わらず諸芸達者な方だと燕児イェンニは感心し、差し出された筒竹から薄紙を引き […]
2021年2月19日 / 最終更新日時 : 2021年2月18日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 四年の月日を経て 学校が終わり、帰りがけに食材を軽く買い込んだ杏夏は鞄の他に野菜が入った白いビニール袋をぶら下げて自宅マンションへと戻って来た。 エントランスをくぐると、壁沿いにはずらりとポストが並んでいる。集合住宅だからこその光景だが […]
2021年2月18日 / 最終更新日時 : 2021年2月17日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 さっきの手紙のご用事なあに? 四時十分に美咲が学校から帰ってくると、お姉ちゃんが闘牛のごとき勢いで二階から降りてきた。お姉ちゃんは靴を脱ごうとした美咲に白い封筒を押しつけた。その後、封筒を茉莉ちゃんに届けるよう命じられ、美咲はランドセルを玄関に置い […]
2021年2月17日 / 最終更新日時 : 2021年2月17日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 手紙のおはなし ここは奈落、異界の端境はしさかい、極楽浄土のてんてこまい。舌を抜いたら煉獄ごろごろ、ごまみそずい。魑魅魍魎の巣食う場所、悪逆非道の酒池肉林。三千世界をまとめたとっても愉快でハッピーデストロイ。ちまたでポップなティーンに […]
2021年2月16日 / 最終更新日時 : 2021年2月15日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 ナビカトリアの手紙はこび屋 * ナビカトリアは海に浮かぶちっぽけな島です。 昼間は豊かな緑におおわれたごく普通の島に見えますが、島のほとんどが夜光石という鉱石で出来ているため、夜になると島全体がぼんやりと薄紫色に光ります。 不思議な […]
2021年2月15日 / 最終更新日時 : 2021年2月15日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 とある酒場の一夜 深い森のなかにそびえ立つ、堅牢な城壁。さまざまなものから住まう者たちを守っている城壁と中の都市は、城塞都市とも呼ばれている。 城塞都市の中心部にはひときわ目立つ城があり、たいていは都市の主である領主がそこで日々を過ごし […]
2021年2月12日 / 最終更新日時 : 2021年2月10日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 星はすでに落ちている ゴッホの「星月夜」だな――。 青と黄色の幻想的なポストカード。 郵便受けから出した手をくるっと返し、差出人の名前を見て、渡辺カナコは吐きそうになった。 照本 リュウジ 通信欄の書き出しは「暑中お見舞い申し上げます」 […]
2021年2月10日 / 最終更新日時 : 2021年2月10日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 ファンレター ある日、西嶋はふと思い出して自宅のクローゼットを開けていた。「よっと」 開け放たされたクローゼットの前で屈んだ西嶋は、手を伸ばしてある物を取り出す――それはブリキ製の大判ケースだった。 西嶋にとって、それは一種の宝箱の […]
2021年2月9日 / 最終更新日時 : 2021年2月8日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 障壁 会うことがかなわないなら、たとえば手紙を送っては。 もし、手紙が届かないならば──? この春以降の住まいになるだろう屋敷を初めて訪れた日から、嫌な予感はしていた。 三つ年下の主はどちらかと言えば奔放な性格で、堅苦しい […]