2020年12月3日 / 最終更新日時 : 2020年12月2日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 ある男の手紙 如何お過ごしでしょうか。大戦が終わって早十数年が経とうとしています。自由の身となり、名を変え、田舎で私は平穏に過ごしております。今でも、あの熱狂は何だったのか理解しかねております。物心ついた時には母はすでにあの男と再婚し […]
2020年10月14日 / 最終更新日時 : 2020年10月13日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 美しい朝より「手紙」 宇宙軍総裁殿下におかれましては、ご健勝のこととお喜び申し上げます。この世界に落ち着いて、何年経っても私は子供の姿のまま、過ごしてまいりました。大人の姿になる夢をずっと見続けておりました。いつか、きっと健全な身体を得て、仲 […]
2019年8月12日 / 最終更新日時 : 2019年8月12日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 Imagine 「理想論か、過激思想か、ってところかい」「神様はいないかも知れませんよ」少年は実にあっさりと言う。「カソリックの論議もキリスト教の教えも他の宗教の人たちには無意味です。東洋では無も有もなく、どこでもないところで何かが生ま […]
2019年1月6日 / 最終更新日時 : 2019年1月5日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 花 カンタベリーの墓標を見る。小さな花束が添えられていた。野草の花だった。 「誰が…」 貧相なコップに活けられた花は小さく、園芸種とは違って華やかさはなかった。それを見つめる。身なりのあまり良くない青年がその界隈を熱心に掃除 […]
2018年5月22日 / 最終更新日時 : 2018年5月21日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 海へ行く 山波が見える。手前にはダム。広大な湖水が広がっている。湖水の如く、という古い言葉で呼ばれた急峻な流れの川はそのダムの下流からも流れている。 「この先は行くの」 「いかないよ、ここでバーベキューして…夜はそうだな、尾瀬あた […]
2018年5月7日 / 最終更新日時 : 2018年5月7日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 月蝕~静かの海 ガーター騎士団 二次創作 ----------------- 月蝕~静かの海 カンタベリーの夜空を見上げる。隣にはアルデモード夫人がいた。大聖堂の中庭。ハーブが植わった花壇。その奥には崩れかけた壁がある。その壁には見覚え […]
2017年8月12日 / 最終更新日時 : 2017年8月15日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 泡盛さん・属性・お祭り男 「この国の祭りって神様を喜ばせるためにあったんですよ」 少年がそう言った。手元には様々な文献。白薔薇亭のいつもの居間。 「神様を喜ばせる、ねえ」 「僕達にはそんな考えなかったでしょう」 「そう言えば…」 「もてなして、ど […]
2017年1月10日 / 最終更新日時 : 2017年1月9日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 花幻之記~累ガ淵異聞 崩れ堕つ天地のまなか 一輪の花の幻 ―あなたは尊い王と偽っておられるが、私には偽王にしか思えない。あなたの血筋、断絶してしまえと私はこの部屋で待っているのです… 「それがあなたの御望みか」 ―いかにも。卑しいあなた、私を […]
2016年8月28日 / 最終更新日時 : 2016年8月27日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 和(やわらぎ) 「和をもって尊しとなす…」 ぱたんと本を閉ざし、その少年は溜息をついた。 「論文締め切り、きついなあ…」 いつも滞在する兄の経営するオーベルジュは今日も賑やかだ。料理長とオーナーたる兄の喧嘩が。 「またやってる…」 今日 […]
2016年2月18日 / 最終更新日時 : 2016年2月18日 straycat テキレボWebアンソロ 泡盛さん・猫 茶トラの猫がいる。白薔薇亭の一室に。 「えーっと、もしかして、トマス殿」 「はいそうです」 少年は、オーナーの弟にしてリース教授の養子のリチャードである。年齢は十二歳、見かけは九歳くらいの小柄な子供。実は中世イングランド […]