2020年10月7日 / 最終更新日時 : 2020年10月6日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 渡らなかった手紙 エステル様 貴女がこの手紙を読んでいるという事は、私は何らかの理由で、貴女のおそばにいないのでしょう。 そしてこの手紙を、貴女自身が見つけられたか、他の誰かが見出したかで、貴女の手にあるのでしょう。 私が貴女のもとに […]
2019年7月23日 / 最終更新日時 : 2019年7月22日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 二次創作乙女の妄想はいつの時代も逞しい 今日は年に一度のバレンタイン。女の子が好きな男の子にチョコレートを贈って、胸に秘めた想いを伝える日であります。 そんなバレンタイン、アナスタシア王城つきのメイドであるアティアは、そわそわ、そわそわ、朝から落ち着かずに、 […]
2019年7月18日 / 最終更新日時 : 2019年7月17日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 ここにいない君を想い 「左手しか無いんだから、左手で何でもできるようになりな」 世話になっている家主兼主治医のユージンにミサクがそう言われたのは、息子が生まれてから四年の歳月が過ぎた頃だった。 それまでは、色々と――本当に色々とありすぎて、彼 […]
2019年1月15日 / 最終更新日時 : 2019年1月15日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 歳の数だけ薔薇の花より 春も終わりに近づいた、とある一日のこと。 夜の帳が降り、暗くなった窓の外を眺めながら、ソファにかけたエレは、若草色の瞳を憂いに曇らせて、今夜何度目かわからない溜息を零した。 先だっての冬、元セァク皇国の姫であるエレ […]
2019年1月5日 / 最終更新日時 : 2019年1月5日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 メイヴィスキッチン:ハーブティー編 「エクリュ、ハーブティーは平気?」 ある日の昼下がり。 木剣を振り回した訓練後のおやつを求めて食堂兼台所ダイニングキッチンに行くと、唐突にメイヴィスにそう訊ねられて、エクリュはきょとんと碧い目をみはってしまった。 「 […]
2018年4月20日 / 最終更新日時 : 2018年4月19日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 まなうらの、あお 「海を見た事が無いの」 旅の途中のある晩、共に火の番をしていた時、赤い炎に金髪を照らし出されながら少女がぽつりと洩らした言葉に、ミサクはさしたる驚きも覚えぬまま、「そうか」と淡白に返した。 それもそのはずで、彼女は物 […]
2017年8月5日 / 最終更新日時 : 2017年8月15日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 本の祭典 「ぱぶりっしゅ……れぼりゅーしょん?」 「レボリューション『ズ』」 旧セァク皇国育ちだから、旧イシャナ王国でしか使われていなかった言葉が馴染まないのだろう。不思議そうに小首を傾げる妻エレの言葉に、インシオンは赤い瞳を細 […]
2017年1月2日 / 最終更新日時 : 2017年1月2日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 嘘に混ぜた本当の それはいつものように、街で買い物をした後。 エレは日用品の入った袋を抱え、きょろきょろと周囲を見渡していた。仲間達との待ち合わせを約束した広場に来たのだが、合流できないどころか、一緒にいた連れまでをも見失ってしまった […]
2016年8月24日 / 最終更新日時 : 2016年8月23日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 和をもって和み、和と成す 「『和』というのは、人と人が仲良くして、初めて成り立つものです」 かつかつと軽快な音を立てながら、大学を卒業したての若い女教師は、白チョークで黒板に大きく『和』という字を書いた。 「皆さんも、お友達との『和』を、大事に […]
2016年2月15日 / 最終更新日時 : 2016年2月16日 straycat テキレボWebアンソロ 長靴を履いたスコの恩返し 「森山義希、恩返しに来たぞ」 ガソリンスタンドでのバイトを終え、コンビニ弁当の入った袋をぶらぶらしながら、一人暮らしのアパートへ帰り着いた俺を出迎えたのは、膝までの背丈しか無い、一匹の猫だった。 耳がクタンと垂れてい […]