2017年9月14日 / 最終更新日時 : 2017年9月13日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 結婚式はあのスーツで もし、自分に子供ができる日が来たとしたならば。 もし、その子供が大きくなってそれまでの人生で一番大きな決断をすることになったのならば。 もし、結婚式を挙げると言ったならば。 十五年ほど前まで、それらはすべて頭の中 […]
2017年9月14日 / 最終更新日時 : 2017年9月16日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 草刈忍者はハロウィーンできるのか? 「いいか。ここは一つ、草刈忍者にふさわしいハロウィーンをしよう。 カボチャのパイをかけた、仮装大会だ!」 これが、おやじの言い分だ。 おかみが作った美味しいパイは、七等分にするには小さかった。だから、勝負してくれって […]
2017年9月14日 / 最終更新日時 : 2017年9月13日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 フライ・ハイ ――かーん、かーんと教会の鐘が鳴り響く。時刻は午後一時。『お祈り』の時間だ。黒ずくめの女たちが鐘の下の広間に集まって、一斉に手を合わせる。 「主への祈り」 「偉大なる主、創造神ミハイオよ――」 中心にいる神父の言葉に […]
2017年9月13日 / 最終更新日時 : 2017年9月12日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 色のない猫 蒼い山羊 ソレは在った。 ソレは、目を閉じたまま、全身を震わせた。 周囲の空気が揺れて、ソレの形がぼんやりと窺い知れるようになる。 ソレは、全身を大きく振った。四本の足でしっかりと自分を固定しながら。 三 […]
2017年9月13日 / 最終更新日時 : 2017年9月12日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 表側の大学祭 「最初の挨拶の後パレード一周。そこから投票タイムの間のステージ企画と順位発表、表彰まで通しで壇上って感じですね」 電話の向こうで学祭実行委員長は早口に言った。 「あの、それって何時間ぐらいなん?」 「三時間半くらいです […]
2017年9月13日 / 最終更新日時 : 2017年9月12日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 SIDE TWO TONE GIRL いつもと違う相棒探し 伏した青年の体の下から、透明な液体がこぼれ出て、水たまりを作っていく。 それが色を喪った血液であることを、私はよく知っている。取り返しのつかないほど流れ出てしまっていることも分かっている。 「まだ、まだ助けられた。何 […]
2017年9月12日 / 最終更新日時 : 2017年9月11日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 万灯会 墓の台座を掃き清め、桶に汲んだ水を打つ。 竜胆、鶏頭、女郎花。充が夏の花々を生けている間に、桃子は柄杓から湯呑に水を注いで墓前に供えた。誰が教えたというわけでもないのに大人のしていることを見て憶えたらしい。 ライタ […]
2017年9月12日 / 最終更新日時 : 2017年9月11日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 踊り、踊って、踊らぬ仲 「これは驚いた」 ブラトー男爵が魔法科の教室へ足を踏み入れると、たちどころにふさふさの立派なたてがみが顔のまわりに現れ、鏡に映るのは紛れもなく獣頭の自分の姿だった。 「ようこそ魔法科の仮装舞踏会へ」 そのまま奥へと招 […]
2017年9月12日 / 最終更新日時 : 2017年9月11日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 文化祭とアクセサリー 文化祭に自分はいない方がいいだろう。 沙耶はそう判断したし、仮にクラスメイトに訊いたなら彼らも同意しただろう。 幽霊が見えるという「巫女姫様」の沙耶のことを、クラスメイトは扱いをはかりかねている。ぶっちゃけると嫌わ […]
2017年9月11日 / 最終更新日時 : 2017年9月10日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 感謝祭の薔薇 マジックミラーの向こうで巨体の青年は背を丸め、落ち着きなく周囲を見回している。薄暗い蛍光灯の下、その姿は小動物めいて、体躯とのちぐはぐさに見る者に違和感を与えた。 「これで一件落着ですね」 言いながらコーヒーを差し出 […]