黒南風の八幡~隻眼の海賊と宣教師の秘宝~


17世紀初頭、大航海時代末期。日本の近海には当時、幕府の鎖国令にも縛られず、世界の海を駆けた「八幡」と呼ばれた海賊たちがいた。
隠れ吉利支丹として人目を忍ぶ生活を続けていた平戸の刀鍛冶・右近。弾圧の末に奉行所に捕縛された彼を助けたのは、「黒南風の燕」と呼ばれ、オランダ人やスペイン人にも怖れられた伝説の八幡・麝香燕だった。
二人は何者かに連れ去られた右近の師である宣教師フェリペ・デ・ディエゴの行方を追って、鎖国下の日本を飛び出すが、二人の前に立ちはだかったのは、当時、東アジアを支配していたオランダ東インド会社だった!
(サークルサイトより)

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碧空尽 中国短編小説集三


 「龍の髭」を主宰する春秋梅菊さんによる古今の中国の王朝を舞台にした短編集の第三弾。
 日中戦争下、己のアイデンティティに揺れる日本人を主人公に描いた「祖と、故と」と、明代を舞台に個性豊かな武芸者が活躍する武侠小説『情に溺るるを知れば」の二作を収録。

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円明園 中国短編小説集二


 「龍の髭」主宰の春秋梅菊さんによる古今の中国の王朝を舞台にした短編集の第二弾。
 文化大革命の狂乱の中にある民衆の姿を描いた「壇上の悪意」、唐代の長安を舞台に詩作を巡るドタバタ劇「他人に詩を見せることなかれ」、明の遺臣が紡ぐ滅亡と再起への独白「遺民記」の三作を収録。

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夜来香 中国短編小説集一(1)


 中国を舞台にした歴史短編集。それぞれ清代・元代・民国時代に舞台を設定した三作を収録。
 古典的な志怪小説のセオリーを踏みつつ、素朴な民話世界を展開する「変わりっ狐」。さながら芥川のような、柔らかで長閑な展開なのにどこか残酷な「小さい煩妹」。戦前の郷愁と悲恋を描いた王道短編「口琴」。

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たちきれはなし


 上方落語の傑作「立ち切れ線香」を原作に、上方の花街を舞台にした人情と悲恋の物語。
 旦那に裏切られ絶望の闇に堕ちた北新地の芸妓・小絹は、南地の紀ノ庄の娘芸者・小糸とのふれあいの中で次第に生きる希望を取り戻していく。しかしある時から、小糸は船場の若旦那との恋に溺れていく。かつての自分を小糸に見出す小絹はしかし、その恋を止めることは出来なかった。
それが、悲劇の始まりとも知らないで――(創作文芸見本誌会場HappyReadingより)

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美の女神、海へ還る


  ルネサンス絵画の最高傑作の一つ、サンドロ・ボッティチェリの 《ヴィーナスの誕生》。そのモデルといわれた女性が、画家ボッティチェリに宛てた手紙には、とある真実が秘められていた。書簡体小説。他に、フィレンツェの人々の独白によって描かれるボッティチェリと、ルネサンスを代表するとある画家の物語『放蕩息子―シモーネ、フィリッピーノ、そしてジャコモの場合―』を収録。

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花と魁


 江戸・吉原遊郭を舞台に綾なす遊女たち、禿たち、そして男たち。腐った水のような世界をひらひら泳ぐ女たち。苦界と呼ばれる格子の向こうの女たちの世界を切り取る小景。「泳ぐ蝶になれ」(ひより)、「露乱れて、花となれ」(祈)の2本収録。

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